准看護師研修会
主 催 栃木県医師会
日 時 平成29年9月14日
場 所 宇都宮市文化会館会議室
参加者 4名:大根田、辻、斎藤(晃)、鈴木(義)
○講演
1、「医療現場で求められるマナーについて」
2、「在宅医療における訪問看護の実際と役割」
○講演抜粋
1、「医療現場で求められるマナーについて」
有限会社エファ代表取締役 菊地理恵先生
マナーは頭で覚えるものではない、身についているもの、無意識にできるもの。しかしやっているつもりではマナーにならない、第三者にもそう見えるものが初めてマナーと呼ばれる。
医療業界では5、6年前より利用者からのクレームが多発している。利用者は自分が感じた不快感などを我慢しなくなった。医療現場で聞かれるクレームの7割は人と人の対応に関するものだ。その内容のほとんどは誤解から成り立っており感情論であることが多い。
そのきっかけは出会いの場から始まる。スタッフとの関わりの場面で「挨拶がない、返事がない、聞き取れない、無視された、差別された」というようなネガティブな印象が別のクレームの背景となっている。挨拶にしても当人はやっているつもりでも相手にそれが伝わらなければむしろ反対に取られてしまう。
自分以外、すべての人に挨拶の徹底させる、戦略としてこれを位置づけてゆくこと。言葉をしっかり相手に届ける、声の大きさ、態度、トーン、伝わり方を意識して行ってゆく。特にマスクをしたままでの患者様への挨拶は「大きなジェスチャー」とともに「うなずき」も大切な技術だ。
●いい仕事をしてゆくために「身につけておきたい3つの原則」
(仕事の三原則、どの仕事にも求められるもの。どれか一つ欠けてもダメ)
1、「正確性」
・正確性をより高めるポイント。
メモを取ること、他者にもわかるように。復唱して確認する癖をつける。段取り(前後関係)の重要性を理解する。
2、「敏速性」
・敏速性(素早く)を高めるポイント。
聴く力を身につける。物理的に聴くのでなく心で聞き何を伝えようとしているかをつかむ。勝手な思い込みで重要性を間違えない。与えられた役割に本人が最後まで責任を持つ。
3、「共感性」
・共感性(感じよさ)を高めるポイント。
元気な挨拶、明るい返事。聴くときの姿勢、前かがみ姿勢とうなずき。
*菊池先生よりのメッセージ
患者様への連絡や職員同士が元気に挨拶していない病院で治療を受けたいですか。患者様に冷たい態度で接している施設を利用したいですか。やっているつもりではダメです、伝わらなければ意味がないどころかマイナスの結果を招いてしまいます。それがクレームの背景になってしまうのです。そうならないために防御の技術として「3つの原則」をしっかり実践してみましょう。
2、「在宅医療における訪問看護の実際と役割」
居住介護支援事業おやま所長 永井恵子先生
・社会情勢の変化
少子高齢化、高齢者多死時代の到来、死に場所の問題(孤独死の増加)、医療費の問題、入院期間の短縮、競争社会から成熟社会へ。
・地域包括ケアシステム
本人、家族の選択と心構え。常に家族に見守られながら亡くなるわけではないことを、それぞれの住民が理解した上で在宅生活を選択する必要がある。
・在宅療養支援診療所とは
1)24時間対応の訪問看護ステーションと連携していること。
2)在宅療養患者の緊急入院を受け入れる体制を確保していること。
3)医療サービスと介護サービスとの連携を担当する介護支援専門員(ケアマネージャー)と連携していること。
・訪問看護とは
看護師などがお住まいを訪問し、療養生活を送っている方の看護を行うサービスです。
・訪問看護ステーションとは
都道府県知事の指定を受けて訪問看護を専門的に行う事業所です。訪問看護ステーションは全国に約7500箇所。栃木県では約84箇所で、これは全国でも一番低い数字です。
・訪問看護を受けられる人は?
病気や障害のために療養生活の支援を必要とする据えての方、乳幼児から高齢者まで。
・訪問看護は医師の指示書が必要です。
・どのような看護をするのでしょう
1)病状の観察
2)病状の悪化の防止、回復
3)療養生活のアドバイス
4)リハビリテーション
5)点滴、注射などの医療処置
6)痛みの軽減や服薬管理
7)緊急時の対応
8)他職種との連携
9)看取り、死後の処置
10)グリーフケア
*永井先生よりのメッセージ
多くの資格者が訪問看護の業務に興味を持ち、積極的に参加していただけるよう願っています。とてもやりがいのある仕事だと感じています。
レポート 鈴木義延